平成20年度岡山県知的障害者相談員協議会総会並びに研修会
 本年度の岡山県知的障害者相談員協議会の総会並びに研修会が、6月23日(月)10時20分から岡山県総合福祉・ぶらんティ
ア・NPO会館301会議室で開催され、約100名が出席して行われた。

開会挨拶        岡山県知的障害者相談員協議会太田会長並びに岡山県手をつなぐ育成会徳田会長
  まず、岡山県手をつなぐ育成会徳田会長から、この県育成会と相談員協議会の関係について、説明。それから、障害者の地域生活における
支援としての相談員の役割と関係機関との連携への取組についての話があった。太田会長からは、相談員は、よく聞くという基本に戻って活動
することが大切と言われ、あいさつとされた。

講師・助言者紹介 岡山県公共職業安定所                                 斎藤祐士統括職業指導官
              岡山県保健福祉部障害福祉課                            坊寺みのり主任
              備前県民局健康福祉部福祉振興課                         中村謙治障害福祉班長
                                                               同前直昌主任
                                                               浅田美紀主任              
              備中県民局健康福祉部福祉振興課                         菅野浩司副参事
              美作県民局健康福祉部福祉振興課                         井上大輔主事
 

総会行事
議 事          太田会長が議長として議事を進行。

 1 平成19年度岡山県育成会との共済・参加等事業状況報告並びに会計報告・監査報告
 2 一部役員の改選
 3 平成20年度事業計画並びに予算について
 4 地区別研修会について
 以上が提案され、原案どおり可決。一部の理事の交代も承認された。
 

情報交換

 3県民局に分かれて、県民局担当者を交えて情報交換を行う。
 主に、障害者の地域での生活を支援するため、関係機関や民生委員などとの連携、また各地域での活動について、熱心に情報交換が行われた。

研修会
午後12時40分から研修会を行う。
講  話  

「知的障害者の就職のために」    岡山県公共職業安定所     斉藤祐士統括職業指導官
・昨年6月段階での障害者雇用率は、岡山県で1.8%とのところが、1.74%で、昨年よりは0.43%のアップとなっている。
・障害者の雇用は進んでいるが、中小企業は以前として厳しい状況にある。
・企業としても社会参画という面から障害者雇用に対する意欲は高まっている。それだけに就労へ向けての還啓機関の支援体制が求められる。
・労働局の方針としては以下の三点を示している。
 ・雇用率の達成。そのために一人一人の適格性を把握し、指導を行い、トライアル雇用、それにジョブコーチをつけて就労できるように支援。
 ・教育、福祉、就労の連携。そのためにはチームによる支援体制が必要。
 ・精神障害者、発達障害者の雇用対策の推進。
・働きたいと思ってもどのくらい仕事があるのか。その際は、安定所のホームページなどで情報を。
・障害者の求人として、閲覧してみると現在119件あり、そのうち、環境、廃棄物などの業務が8件、後は事務補助である。
・最近、やや求人が減少してきている。
・職場での問題点として以下の事例を。
 ・事例1
  採用され、仕事をしていたが、熱心であった人事担当者が異動になり、意思疎通がとれなくなり辞めたというもの。主訴としては、仕事が少なく
  なったからと言うことであったが、心理的に不安定になり、欠勤。それにより給与の減額ということ。本社も配慮不足を認め、理解のある人を
  つけ、複数で支援し改善。元に戻る。
 ・事例2
  本人が環境に慣れすぎて、周りに目移りし、新しい仕事をしたいと言ったが社長に拒否される。そのうち服務規律も守らなくなり、奇声を挙げた
  りするので、辞めさせられる。
 ・事例3
  これは、会社が受注現により、勤務時間の減少、それにより、給料減で自己退職。
 ・事例4
  社内規律が守れず、金銭貸し借り、男女関係などの問題を引き起こし、人間関係も悪化し退職。
 ・そのほか、仕事の能力は高いので、新しい仕事をさせようとするが、本人が拒否するとか、能力不相応な仕事を求めて辞める。
・このようなことから、安定所としての弱点が浮かび上がった。それは、何が何でも就職をと追い込むことにも要因があることに気付く。
 ・その事例として、10月初めに求職してきた療育手帳Bの知的障害者をまず地域就業・生活支援センターに評価依頼をお願いした。
 ・2週間後、職業訓練が可能との判断。この方は自動車免許も取得している。また、ボランティア活動歴もある。
 ・国立障害者リハビリセンターで訓練をということであったが、11月中旬に不合格になる。その原因は人間関係に問題があるとのこと。
 ・二つの企業での実習をということでお願いし、1月に実習を受けるが、まもなく断られる。その理由は意思疎通がとれないとのこと。
 ・2月中旬で別の会社で、1週間の実習。そこでの評価として、スピードは遅いが仕事はできるということで、ジョブコーチをつけてトライアル雇用に。
 ・3月から5月までの期間が終わり、会社訪問をすると、企業側は常用雇用は無理といわれる。その理由は、他の従業員の仕事が気になり、自分
  の作業が進まない。時間もかかる。そこで、ケース会議を行い、ジョブコーチをつけることにするが、本人がうっとうしいと嫌がる。
 ・6月上旬に他の会社に。県の委託訓練事業を実施しているところで、委託訓練生として働くが、9月末不採用となる。そして、現在は作業所に。
・このように雇用が続かない事例がある。
 ・ある会社が障害者の雇用を希望。時給680円で。常には仕事がない。その会社の顧客から障害のある子どもさんを働かせて欲しいと言われた。
 ・常用雇用が難しいので、会社の草取り、窓ガラスなどの委託作業ということで。事故は自己負担ということでしてもらったらと助言。
・知的障害者の場合、フルタイムでなく、パート労働も一つの就労と考えていくことも必要ではないかと思っている。
・今後の問題として、事業主の考え方として次のようなものがある。
 ・求職者は、自己の就業能力を客観的に把握出来ること。
 ・過度な正社員希望は持たない。
 ・職業人としての自覚。
 ・企業は、利益追求の場であることの理解。
 ・雇用即費用がかかる。
 ・能力分析
 ・甘えはゆるされない。
私として思うこと
・就労について、周りが勧めるのでなく、本人のやる気が大切。会社勤めという意識を持つ。
・約束、時間を守り、嘘をつかない。この3つができればお世話が出来る。
・手先が器用ならよいという事業主は言うが、実際お願いすると断られる。その時、次の会社の紹介をしてもらう。余り良くないことだが、奨励金
 の出る間だけでも働かせて欲しいとお願いする。
・事業主には、障害者の雇用での留意点として次のことを言っている。
・人手不足の穴埋めで障害者を雇用することはだめ。
・IQの数値にとらわれるな。
・能力を発揮する方法の工夫。
・障害者の雇用に当たっては、社会資源の活用を。
・従業員の事前教育により障害者理解に努める。
・特別支援学校などの実習を積極的に受け、就労に当たってもその学校との連携が大切。
・特に自閉症は専門家のアドバイスが欠かせない。
・職場以外での人間関係や生活支援も必要。
・企業では、個人生活までの支援は雇用者として負担が重い。
・一般企業では、障害者雇用への準備はできていない。
・雇用をお願いすると、手間をとられるとか、危ない職場だからとか、現場が理解してくれないといって断られる。
・知的障害者のできる作業が、最近アウトソーシングされている。自社業務としているところは少ない。
・職場体験実習に熱心な会社の数はわからない。
質疑
Q トライアル雇用とジョブコーチについて
A 試み雇用で2週間。契約期間が明確で、月4万円の奨励金が会社に。
  雇用前、雇用後にもジョブコーチが配置される。
  ジョブコーチは現在岡山県内で16人。地域就業・生活支援センターに5人、福祉施設に9人、事業所に2人。
  配置については、障害者職業センターと安定所の判断による。
Q 私は農家で、作業所が手伝いに来てもらっている。施設からきているのだが、その場合の雇用は。
A 個人の場合でも雇用はできる。縛られるのは、最低賃金の保障だ。知的障害者であれば、特別の雇用が可能。
  正式雇用が無理であれば、委託作業として就労してもらう方法もある。
Q 知的障害者が209人就労したとのことだが、3年以上継続就労している人は。
A 調査していないので不明。
Q ジョブコーチがうっとうしいというのは、適切な指導が本人になされていなければそのように思うのではないか。
A 職場研修内容について具体的には把握ができていない。ただ、人によって合う合わないということもあるのではと
思っている。

活動報告

 報告者 備前県民局 岡山市瀬戸町 青地倍子氏
       美作県民局 久米郡美咲町 織田千恵子氏
・青地氏からは、ある成人の知的障害者の事例については発表。
・40歳でまじめに働いていたが、自転車の通勤途上で、優しい言葉を掛けてきて、一緒の飲食からエスカレートして、かってにお金を引き出
 されたり、果ては脅されてお金をとられていることが、長い間分からなかった。母親が気付き、一緒に解決を図ろうとするが、どうにもならな
 くなり、相談があった。
・関係機関に働きかけ、現在は、弁護士さん、司法書士さん、民生委員さんなどの協力をいただき、少し改善ができた。
・こういうことから、日頃の親との対話と地域での関係者の連携が必要である。また、本人にとっての良き伴侶と友人が必要である。
・織田氏からは、ご自分の子どもさんの幼稚園への就園に向けての働きかけにより、学校をはじめ多くの人からの理解が得られた。
・学校への就学も加配により、可能になった。養護学校に就学して、親の会の存在を知って親の会の組織化に努力した。
・平成7年に親の会を設立、扶養共済年金の申請、学校との連携や相談、会員の自動車税の免税手続き、研修会等の啓発行事の実施。
・就労の場をということで、作業所の設立を発起。その際は相談員として、県育成会からの助言と支援があり、助かった。
・現在は、少人数、厳しい運営が続いているが、町民からの理解が深まっている。

 以上、お二人の地域の関係者の理解と支援を引き込んでの活動の様子をお聞きし、感銘を深めるとともに、相談員としての具体的な問題
について、提起され、有意義な研究協議になり、質疑を終了し、話し合いを終わった。


閉  会 

   岡山県知的障害者相談員協議会北原副会長より、岡山県公共職業安定所の斉藤総括指導官並びに青地、織田両氏による活動報告
 と、いずれも具体的な事例を通してのお話であり、大変参考となり、有意義な研修ができたとの閉会挨拶により、散会した。


                                (文責 徳田)

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